日本工芸会東日本支部

金工

金属を素材として、その特性である熔解性や伸展性を利用して成形し、それに様々な技法を施す工芸技術です。

日本では古くから、金、銀、銅、錫、鉄を「五金」と呼び、金工の素材として利用するとともに、二種類以上の金属を溶かし合わせた合金を用いて、多様な技法を発展させてきました。

弥生時代の銅剣、銅鐸、銅鏡、古墳時代の装身具、飛鳥・奈良時代の金銅仏、鎌倉時代の刀剣、甲冑、室町時代の茶の湯釜等、それぞれの時代ごとに、様々な技術が生み出され、その技術は伝承されつつ、時代とともに多様な展開をしてきました。

日本工芸会東日本支部には、重要無形文化財保持者(人間国宝)の齋藤明、奥山峰石、田口壽恒、桂盛仁を筆頭に関東、甲信越、東北、北海道在住の金工作家、約70名が在籍しています。

以下に金工の主な技法である鋳金、鍛金、彫金について説明します。


鑞型吹分壺「融合」 齋藤明


鑞型鋳銀花鳥文香炉 渡邊正


鋳金

金属を熱で熔解し、あらかじめ用意した鋳型に流し込み、目的となる形をつくる技法です。鋳型には鋳物砂と呼ばれる耐火度のある砂が用いられます。日本古来の伝統技法としては、川砂と粘土を混ぜて一度焼成し、それを粉砕した「真土(まね)」を用いる、真土型鋳造法があります。また、鋳型のつくり方には、蝋型、込型(こめがた)、惣型があります。

蝋型

蝋(松脂、蜜蝋、パラフィンなど)で原型を作り、鋳物砂で包み込み、焼成します。蝋が溶けて出来た隙間に、金属を鋳込む方法です。

込型

石膏や木などで原型を作り、その原型から鋳型を写し取ります。鋳型は必要に応じて分割され、分解して原型をはずします。この鋳型に金属の厚み分だけ小さくした中子(中型)を作り、再度組み立てて焼成し、金属を鋳込む方法です。

惣型

作品の輪郭線に応じた挽型板(ひきがたいた)を回転させながら、直接鋳型を作り、金属に直接触れる部分のみを焼成して金属を鋳込む方法です。


朧銀花器「つくばね」 広沢隆則


和銑肩衝釜 高橋敬典


鍛金

鍛金の技法を大別すると鍛造、鎚起、板金になります。

鍛造

炉中で赤熱させた鉄材を鎚で鍛錬しながら展伸させる技法で、日本刀がその代表的な例です。

鎚起

金属を円形に打ち伸ばして板状にした後、板金の伸展性を利用して成形するものです。現在一般に鍛金と呼ばれている技法の多くは「絞り」によるもので、木の台(当台)に当金を取り付け、板材をこの当金に当て、金槌、木槌等で絞り込みながら成形するものです。

板金

金属板を折り曲げたり、異なる金属を蝋付(接合)したりして、形作る技法です。鍛金の加飾技法には、打込み象嵌、切り嵌め象嵌、ロウ流し、等があります。


南鐐水指 田口寿恒


打込象嵌花器「冬の日だまり」 奥山峰石


彫金

立体的あるいは平面的な金属の表面に、鏨(たがね)で文様を彫ったり、透かしたり、他の金属を嵌めたり、レリーフとして打ち出したりして加飾する技法です。この技法は鏨の形状と彫り方の違いで、毛彫り、蹴り彫り、片切り彫り、彫り崩し、肉合彫り、などがあります。また表面の変化をつける技法として、魚々子打ち、石目があります。素地の一部を切り抜いて文様を表すものに、透かし彫り技法、凹凸の肉取りをつけて文様を表すものに、浮彫り技法があります。

象嵌技法

金属の素地に嵌め込む文様の形をあらかじめ掘り下げておき、他の金属を嵌め込むものです。線象嵌、平象嵌、高肉象嵌、布目象嵌など、その技法は多種多様です。


打出銀壺「芙蓉」 泉公士郎


象嵌彩華つなぎ接合せ花器 鹿島和生